街角こんぱす

秋の庭園めぐり

2023.11.9
艶やかな紅葉が美しい清水園

清水園/江戸文化の香りを伝える旧新発田藩下屋敷

越後路から東北にかけてほかに類を見ない名園と称される清水園。
旧新発田藩下屋敷であり、3代藩主・溝口宣直の1666(寛文6)年に棟上げされ、4代藩主重雄の1693(元禄6)年に完成。
遠州流茶人で幕府茶道方であった縣宗知(あがたそうち)が江戸から招かれ、築庭した。
当時は「清水谷御殿」として、藩主や家臣らが集い、茶の湯や能楽を楽しんでいたといわれる。

1891(明治24)年に越後屈指の大地主、伊藤家の所有となり、1946(昭和21)年には(財)北方文化博物館が管理するところとなる。
それに伴い、荒廃した庭園は柏崎出身の庭師・田中泰阿弥の手によって修復され、「清水園」として現在のかたちとなった。

近江八景を取り入れたといわれる京風の庭の中心には、草書体の「水」の字を描く大池泉が置かれ、その周囲には景観に溶け込むように5つの茶室が配された池泉廻遊式庭園は、まさに10万石大名の下屋敷にふさわしい風格を漂わせている。

園内を散策すると、池泉へとつながる水路沿いの苔庭は、
初秋の陽射しの中、朝方降った雨の名残でキラキラと輝いている。
新緑の季節から冬の雪吊りまで、さまざまな表情を見せてくれるのだろう。
四季折々に訪れたい庭園である。

ライトアップされた夜の庭園。幻想的な光景に魅了される

清水園
新発田市大栄町7-9-32
0254-22-2659
開園時間/3〜10月9:00〜17:00、11〜2月9:00〜16:30
休園日/1月と2月の水曜日と年末
入園料/大人700円、小中学生300円

錦秋の五十公野茶寮

五十公野茶屋/新発田藩主の別邸と茶寮

初代藩主溝口秀勝侯が新発田へ入封した際、しばらくの間、仮住居をかまえて築城の構想を練った地と伝えられる。
その後、3代藩主宣直(のぶなお)が別邸をかまえ、4代藩主重雄(しげかつ)のときに幕府の茶道方、茶人縣宗知を招いて庭園を造り、別邸を茶寮とした。
御茶屋は洗練された数寄屋造りの建物で、庭園内の樹木は諸国の名所の種苗を取り寄せて植えたと言われる。

新発田市五十公野字熊ノ沢4926番地
0254-22-9534(新発田市教育委員会文化行政課)
公開時間/9:00~16:30
休園日/月曜(祝日の場合は翌日)、12~3月は冬季閉鎖期間
入園料/無料

老舗酒蔵の当主の邸宅に作庭された枯山水

菊水庭園/池泉回遊式と枯山水のみごとなる融合

菊水酒造創業家・高澤家の邸宅庭園として1969(昭和44)年に田中泰阿弥によって作庭された。
水を用いずに石の組み合わせや地形の高低などで山水の趣を表現する枯山水であるとともに、
枯山水様式で配された大きな池を中心に園路をめぐらした池泉回遊式庭園の形を取っているところに特徴がある。
美しい苔と四季折々の木々の変化も楽しめる。

新発田市島潟750
0254-24-5544(菊水ショップ 9:30~16:30)
公開時間/①10:00~ ②10:30~ ③14:00~ ④14:30~
入園料/無料
※要事前予約。電話またはメールフォームからお申込みください。
https://www.kikusui-sake.com/home/jp/contact/

稀代の大地主が築いた美しい池泉回遊式庭園

北方文化博物館/春夏秋冬の美しさが圧巻の豪農の館

「この庭を以て千人の茶人をもてなす」という七代伊藤文吉の構想の下に作られた池泉回遊式庭園。
田中泰阿弥が5年の歳月をかけて築庭し、昭和33年に完成した。
「石組みや植栽は自身の最高傑作」と泰阿弥自身が誇ったという庭園は、
春のソメイヨシノと大藤、初夏の古代ハス、秋の紅葉、
冬には雪吊り風景と四季折々に変化する美しさが圧巻だ。

新潟市江南区沢海2-15-25 
025-385-2001
公開時間/9:00〜17:00 (12月〜3月は16:30まで)
休館日/なし

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