街角こんぱす

神殿遺跡の回廊のように神秘的な東赤谷連続洞門

2023.7.20
神秘的な東赤谷連続洞門(ひがしあかたにれんぞくどうもん)

新発田市赤谷から県道335号線へ。滝谷森林公園を過ぎて加治川治水ダムへ向かう途中、突如として神秘的な神殿遺跡の回廊のような風景が現れる。

まるで別世界へ迷い込んだかのようだ。

 

これらは通称「東赤谷連続洞門(ひがしあかたにれんぞくどうもん)」と呼ばれる洞門群。

「洞門」とは、トンネルではなく積雪や雪崩などの雪害防止のために屋根で覆われた道や鉄道のことで、「スノーシェッド」ともいわれる。

苔むした作業用通路の屋根は長い年月の経過を感じさせる

1922(大正11)年、八幡製鉄所の専用鉄道として敷設されたが、その後、鉄鉱石の採掘が中止され、鉄道も放置された。

第二次大戦中の1941(昭和16)年、日鉄鉱業により復活されたが、1956(昭和31)年に廃止。その後、道路に転用され、1974(昭和49)年、
加治川治水ダムが完成すると電源道路、観光道路としても使われるようになったのだという。

眼下には鮮やかなコバルトブルーの渓谷が広がる

車を停め、歩いて入ってみると、内部はひんやりとしていて、柱の合い間から光が差し込み、幻想的な雰囲気に満ちている。

柱のすき間から注意しながら下を覗き込むと、鮮やかな青緑色の川が流れる渓谷を見下ろすことができ、上を見上げれば、蒸気機関車の煙で天井が
黒く煤けているのがわかる。

右手の壁面には、作業用と思われるトンネル状の通路も併設されている。

連続洞門の先には、日本最大級の大きさを誇る「加治川治水ダム」も

洞門は全部で4つ。交互通行になっている箇所もある。
毎年11月下旬〜翌年6月中旬までは、積雪のため冬季通行止めになるので、注意したい。

郷愁を誘う赤さびた鉄橋。蒸気機関車の汽笛が聞こえてくるようだ

東赤谷の緑深い渓谷の中に架かる錆茶色のトラス鉄橋。
映画「スタンド・バイ・ミー」のワンシーンを彷彿とさせるこの橋は、
かつて赤谷で産出された鉄鉱石を運ぶために敷設されていた
日鉄鉱業赤谷鉱業所専用鉄道の「飯豊川橋梁」だ。

 

全長47.4m。
今にも朽ち果てそうな頼りない佇まいだが、
木々の緑とのコントラストが不思議に美しく、もの悲しい。
この風景も、いずれは姿を消してしまうのだろう。

東赤谷連続洞門
新発田市滝谷・新潟県道335号滝谷上赤谷線
問合せ/新発田市観光協会 0254(26)6789

「街角こんぱす」2021.8月号掲載記事より(一部改編)

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