街角こんぱす
幻想的な景観の秘境・荒川剣龍峡
新発田市南部の山間地、月岡温泉街手前に掛かる「荒川新橋」を左折して山道を数分走ると「荒川剣龍峡」に着きます。
五頭県立自然公園の北端に位置し、江戸時代初期から知られる景勝地で、登山道の入口にもなっています。
駐車場に車を停めて少し坂を下ると、鬱蒼とした杉木立と「太鼓橋」が目に入ります。
橋の上からは清流を見下ろすことができ、涼やかな景観に心が癒されるよう。
橋を渡った右手には「山の神神社」が鎮座し、山道をさらに1キロほど登った先には「奥の院」もあります。
水音に誘われてあたりを探索すると、社殿の脇には「禊の滝」と呼ばれる滝が流れています。上部が広く、下に向かうほど細くなっていく流れが
特徴ですが、このような滝は全国的にも珍しいのだとか。
滝はもう一つ、道路脇からも見える場所に「不動の滝」と呼ばれる小さな滝があり、滝から落ちる水は、苔むして丸みを帯びた石畳の上を静かに
すべるように流れてゆきます。
柏崎市出身で京都・銀閣寺の庭師も務めた名作庭家・田中泰阿弥(たいあみ)が、かつて新発田市の「清水園」の修復に訪れた際、一日中ここで
過ごしたという話も残されています。
その際に、「剣龍峡の岩はすべて砂岩で丸みをおび、女性的な、日本で幾つもない景色のひとつである」「禊(みそぎ)の滝は、上部に広く下部が
細くなっており、このような滝は全国的にも数少なく、付近の雄大な山々とともに一幅の南画(中国の絵の一派)のようだ」と賞賛したそうです。
「剣龍峡」の名称は、深い山峡から流れる渓流の「龍伝説」にちなんで付けられたと言われます。
巨大な奇岩・怪石とその岩間を走る清流、木々の緑…。その神々しく幻想的な眺めは、まさに圧巻です。
野鳥の観察地としても知られ、マイナスイオンをたっぷり浴びながら魅力ある景観を満喫できます。
荒川剣龍峡
新発田市荒川・国道290号線沿い 問合せ/新発田市観光協会 0254-26-6789
街角こんぱす」2021.8月号掲載記事より(一部改編)